新シリーズです。
過去掲載したものを現在の状況も加味してリライトしてお送りします。
是非お読みください。
インデックス
1.資金繰り
2.キャッシュフロー計算書
3.売上とはリスクとの交換
4.中小企業支援策の体系
5.税制
6.借入制度・保証制度
7.資金調達手段のバリエーション
8.経済産業省補助金
9.厚生労働省助成金
10.事業継承と再生支援
11.単位採算性
12.M&A
13.FC
ラスト3つは伏せておきます。
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(1)補助金の主旨
補助金の目的性は大きな視点では
・新たな産業ビジョンへの誘導
・新たな業態のモデル化
・地域経済の復興
・経済の浮揚
などがあります。
いずれにしても、収益性だけではだめで、社会性が要るということです。
いまや流行りのネットビジネスだけの発想では、社会性が欠けるプランになったりします。その社会性と採算は取れるという実現可能性のバランスが最も必要とされる点です。
(2)産業ビジョンへの誘導の誤謬
新たな産業ビジョンへの誘導には毎年、主旨(特にコース名)において、国が誘導している政策が入ります。
「成長コース」「IOTコース」などものづくり補助金で聞かれたことがあるでしょう。
しかし、過去のコース名で根付いたものはひとつもありません。
最近では厚生労働省施策とクロスして「賃金向上条件」にあたるものが多く、
岸田首相の「成長と分配」の政策への反映を示しています。
ここで勘違いしてはいけないことは国の定める産業発達ビジョンに基づいて事業を行えば収益が出ると言うことではないと言うことです。
それが可能であった時代もありました。
戦後から経済の高度成長時代には、経済産業省の誘導が大きな役割を示しました。
それ程に経済の隙間が多く、成熟期に向けてステップを駆け上がる段階だったので、そうなったのです。
また、世の中のために良いミッションの事業を行えばキャッシュフロー向上に良いと言う訳ではないと言うことも後に詳述します。(14.事業ミッションとキャッシュフロー 参照)
次に、最近多くなってきた賃金向上条件のコースに応募するということについて考えます。
賃金向上というのは、経営の視点から言うと、利益力が増した際に可能になることです。
そこを先に条件で縛られるということは、経営の自由度をなくす危険性があります。
ただし、賃金を上げることにより、社員の士気が上がるという側面はあります。
どちらをとるかは経営者の判断にゆだねますが、補助金が欲しいのが先で賃金向上が条件になっているので賃金を上げるという思考の順序は、戦略としての王道を外しているような気がしてなりません。
(3)ビジネスモデル化の誤謬
ここでの問題は、その会社のビジネスのノウハウを補助金申請で表に出していっていいのかという問題です。
これは、事業主の考えによると思います。
しかし、現実的には真に独自性のあるプランはほとんど採択されておらず、似たようなビジネスモデルに皆が競って進出してそこで競合しているという姿になっています。
また、消費者にとって真に独自性のある、あるいは、価値のあるビジネスモデルならば、補助金という投下資金を要せずともブレイクするという皮肉な矛盾を孕んでいます。
(4)補正予算であるという矛盾
産業ビジョンについてのおかしさについては、もうひとつ事業があります。
補助金の中で、ネームバリューとしてはメジャーになっているものでも、毎年、補正予算で積まれるものが多いことは皆さまもご存じでしょう?
その予算規模も小さなものではありません。
そのため、補助金タイトルやコース名が微妙に変わっているのです。
その年に特有な事業のものならば、補正予算でというのは納得できますが、未だにものづくり補助金も補正予算計上なのです。
この点について、地元選出の衆議院議員に問いただしたのですが、答えは「与党が本予算をスリムに見せたいためではないか?」という理由でした。
これは、枝葉末節の考えではないでしょうか?
なぜ、このやり方がまずいのかと言うと、不採択になった事業所が、ブラッシュアップして再挑戦する際に常に、「来年はあるのだろうか?」という心配が生まれるからです。
(5)補助金申請のポイント
申請書における評価は大きくは
・プランの元ネタ
・申請書の書き方テクニック
の2つです。
近年、会議所系の啓もうが一般事業主にもゆきとどき、申請テクニックが向上してきました。
となると、逆に元ネタの筋の良さの方が評価の対象になります。
しかし、このプラン自体の反省をしたり、ブラッシュアップ(練り直し)できる人が意外と少ないのです。
書き方のテクニックやうまく書いてくれるコンサルタント探しより、プラン自体の再考が重要です。
また、意識の問題として、競争率が上がると採択されるまでに最大の力点が置かれます。
たとえ採択されたとしても煩雑な、補助金事業の実施と申請業務が待っています。
どうしてもそれに意識がいき、最も重要な、その投資効果が全く測られていないのです。
いや、それどころか、補助金事業には、キャッシュフローリスクがあるのです。
(6)キャッシュフローリスク
補助金と言いながらなぜか採択企業にはキャッシュフローリスクが起こります。
ここで、資金繰りを補助金に頼るなと言い切ります。
最も大きなことは結果として補助金で、企業が良くならないからです。
では、一見有利な補助金に内在する危険性とは何なのでしょうか?
補助金に採択されたら現金は大きく減ると言うことを理解しましょう。
設備投資した費用の2分の1(あるいは3分の2)が事業終了後に事業補助として戻ってくる形です。
よって、本来的には補助費とすべきですが、補助金という方が馴染みやすく申請数も増えるという事情があるのでしょう。補助金にエントリーするということは、投資額に見合ったキャッシュを準備しなくてはならないということです。
実際にはこれだけでなく補助事業に係る人の人件費もかかっています。
理解しなくてはならないのは、この補助事業が実り補助事業終了後に売り上げに転嫁できないとキャッシュは減ったままということです。
こうみると補助金事業というのはキャッシュフロー経営とは相反するものです。
事業主は、既存事業と補助事業を分けて、既存事業で常にキャッシュを稼げる状態にしておくことに加えて、設備投資の補助金事業は長期スパンで把握して、キャッシュフローを生み出すように、マーケティングリサーチの精度をアップしていくことが必要です。
補助金制度がキャッシュフローに反するのになぜこの制度があるのかというと、皆がキャッシュフロー経営を目指して短期的利益を狙いに行くと、例えば、ものづくりの本来の強みが失われるという国の配慮があります。
次に資金調達と言う面から見ます。納得できないかもしれませんが、補助金は企業を回す資金と言う面から見ると通常の運転資金と水と油の関係になるのです。
本来は原価をかけて売上を発生させるというサイクルで、その原価にはリスクを内包しています。
そのリスクを落とすのがビジネスのプランであり、より真剣にプランを考えると言う効果を生みます。
ここで、事業の目的が、会社の財務体質を強くすると言うことよりも国の施策に合わせて補助金を得ることになってしまいます。
その目的性には国のバイアスがかかります。それに沿っていけば生き残れるのならいいでしょう?そうはならないのです。
ひとつにはそこで、合成の誤謬の現象が起こり、多数が同じ方向に行くことにより、競争が激化し、事業成果が停滞します。
オンリーワン経営をしようと思えば補助金を貰ってはいけないのです。
事業における投資とは、リスクの向こうにあるリターンを求めに行く行為であって、返済の必要のないノンリスクの資金と言うのとはそりが合わないのです。
ものづくり補助金の事業化率が2割程度に収まってしまうのもこれが原因です。
リスクフリーのお金と思い、マーケティングをしないからです。
自社のお金で投資を繰り返すと、そのマーケティング感覚が少なくとも鍛えられます。
出来るだけ自己資金で投資して、実証精神と交えて、鍛錬していってください。
マーケティングの確度が高く、リターン率が高そうな時は借入資金を使ってください。
そこで、資金を蓄える時間を買うと言うことになります。
カスハラ対応で重要な3つの決まり事
クレーマーの方が刑法の罪状に当たるケース
続く