ここで、京都府乙訓郡大山崎町の「ibuki」という家具修理業を紹介する。
代表は一柳恵亮氏、42歳である。(個人事業所)
一柳氏は同業種での修行から、2015年に独立した。創業以来、地道に雇用者数と売上を成長させている。創業当初の入社希望者もあった。
この事業所の立地は、阪急 大山崎、JR山崎から徒歩20分はかかるという条件の恵まれない立地である。本事業所に関して、当職は開業以来、労務管理面でのかかわりが多く、社員の成長する過程も見てきた。
一柳氏は、この修理業をひとつの技術として捉えて、社員にもそれを伝授しようという熱意がある。社員は社歴を重ねその技術を身に着けていく過程で、明らかに自信のある顔に変わっていく。
一柳氏は事業再構築補助金の資金で2022年に、事業所の工房化を図った。
これは、一人一人のスペースを取って働きやすい環境にするとともに、ショールーム機能を持ち外部からの事業所見学にも耐えられ将来的にその場での販売まで出来るようなレイアウトを目指した。(コンサルタントに頼まずに、自社申請)
本プランは見事、採択を受けて、以下の画像のようなレイアウトとなり、現在では入社志望者の訪問の際の好印象につながっており、入社確率が上がっている。
陽の側面 技術者の素養のある人を吸引するのに大いに役立っている。
影の側面 あまりに心地よい空間にすると、職人意識が出すぎる危険性がある。
結果、店頭(左)スペースでの小売販売にまでは至っていない。小売り業態は全くノウハウが違うので、急な取入れは危険であり致し方ない面もある。
(左、事業所全面はショールーム機能あり、右はゆとりのある空間の作業場風景)
ibukiには、技術レベルをベースにしたマスター制度という人事評価制度があり、これが賃金制度とリンクしている。(技能資格試験ともリンクしている。)3.有期実習型訓練で説明した訓練制度もこの**段階にリンクしている。
非正規社員の訓練を受けさせる段階にあるかの検討時にも参考にされている。
このような、技術とリンクした評価表は技術が日々進化する分野では作りにくい。
陽の側面 評価制度・賃金制度の透明化出来る。
陰の側面 最近のコロナ期の自宅待機(災害要因)や物価高による可処分所得の減少など、能力評価制度だけでは対応できない外部環境変化もあり、ibukiでも、この評価表の給与テーブルを超えた賃金アップをしている。
(評価表、CLASS6以下は省略、右に能力給がある)
*9年間の事業履歴で、女性4人、男性3人の職場となった。
*内容的にも、リーダーのクラスの女性、子供のいる女性、育児休業を取る女性、指導もできる高齢者とまさに多様な人材である。
*労働生産性は7人で売上4,800万円と創業以来一人当たりの売上額は落としていない。
コロナ禍の最盛期以外は毎年利益を出しており収支ライン以上に達している。
*全事業所で人手不足の中、当事業所はハローワークでの募集の経験も積み、募集を出せば、工場見学等の反応はある。十分に成果の出ている状況ではないだろうか?
*事業活動年数×正社員数を指数化(社員は事業期間ごとの実数を累積)
*最低賃金・ハラスメント予防など基本労働法規を守っていることを前提
*社員に給与を払い事業活動を継続しているだけで評価される
という仕組みを作ったらどうなのだろうか?
この提言をするのは、多くの中小企業事業主が、社員にはしっかり給与を払っているもののコスト高・消費税税制・パンデミックなどのグローバル化の中でのリスクなど利益の上がりにくい状況の中で、「何の為に事業しているのだろうか?」と悩んでいるからである。
以 上
続く
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