ここで、事業所を2タイプに分ける。
Aタイプは業務量(生産量)が労働時間以上にあり1工程当たりの労働時間を削減するこ
とにより、そのキャパシテイを上げることで利益の向上が、ダイレクトに可能な事業所。
受注キャパが大きく人員が多いということである。
この場合は、「1工程当たりの労働時間を削減する」ことに専念すべきである。
これは中堅企業以上の規模に多く、働き方改革施策はこのゾーンをイメージして作られて
いる。
Bタイプは業務量が、顧客のオーダーにより左右されるサービス業務が中心で、1工程当
たりの労働時間を削減することは、サービスの低下を招く危険性がある。
平常時には超過勤務というものはしていない。
一般的規模の中小企業は大部分がB型である。特に小規模事業所はそうである。
このように考えるとB型の中小企業の課題は労働条件ではなく、「今まで通りの労働時間で
いかに利益を上げるか?」ということに考えを切り替えた方が指導する方も、される方も
分かりやすい。それは、純粋な戦略の話である。(ただし、政府広報が労働条件の改善イメ
4ージが強くピンと来ていない側面もあるが)
ここから論述は A ・ B 型共通に戻るが、次の項目はどちらかというと規模の大きい A 型
企業に当てはまる。
・パートの戦力化の問題
政府の年収の壁突破支援策もキャリアアップ助成金も、労働者は年収の増加と正職員への
転換を労働者が望む前提でスキームが作られているが、現場では一律でそうではない。
*ご主人の配偶者であるが故に、扶養の中に留まりたいという女性
*ライフスタイルとして正職員のような責任やノルマのかかる仕事はしたくない労働者
がかなりの比率でいる。
世間で言われる「非正規職員」の中で、心から正職員へのキャリアアップを望む人は現場
では、3人に一人もいないであろう。
過去、日本は、正職員とパートで、仕事の棲み分けをしてきた歴史がある。
それは、働き手不足であると言っても急激に考えが変わるわけではない。
全ての社員の戦力化に向けては時間をかけても考え方を転換していく必要がある。
定年後の労働者などを見ても労働意欲の面で、この構図はあり、事業所は、上昇意欲の面
で複線系の能力開発計画とそれに基づく評価システムを作る必要がある。
これについては、時間と技術を要する。
今後、外国人労働者の活用も含めて、全職員を戦力化しないといけないということは言え
る。
・賃金決定の要素について
最近、悩ましい問題がある。
厚生労働省の賃金向上施策は、業務の生産性向上とリンクしている。
しかし、昨今の物価高の事情により非正規職員も含めて、急遽、賃上げした事業所は多い。
これにより逆に支援策に結びつかなかったケースもある。
生産性という企業の内部要因から給与決定すべきなのか?物価という外部要因により決定
すべきなのか?その総合なのだろうが利益範囲内でしか払えないこともあり事業主にとっ
て悩ましい状況であり国策の方でも支援策の調整をお願いしたい。
・直間比率の問題
まず、直接業務とは御社の製品・サービスを形作る行為である。
そのために間接的に行わなければいけない業務を間接業務と言う。
部室で言えば、総務部や業績の管理部門は間接部門となる。
近年の傾向として、会社理念は顧客奉仕としながらも、顧客と接点のない間接部門ウエイ
トが増している。補助金申請業務なども間接業務である。
ここで、直接業務ウエイトを増やすために、間接業務を外注化する考え方があるが、それ
は有償なので、より利益体質にすることを同時に考えねばならない。
近年で顧客対応で、クレーマーの相手をしたくないということから、労働者は間接部門に
いたいという心理もある。
ありがちな傾向としては、社是は「顧客への奉仕」であるのに、顧客と接点のウエイトは
落としているケースである。本来、外注化するなら、より間接的な部門である。
業務の比率で考えると直接業務の比率が7割以上であるべきで、直接業務の中でも主体作
業の比率を上げていくべきである。この主体業務の処理をスピードを上げていくという発
想が必要だが、これは経営戦略そのものが絡む。
・処理工程の見直し
全ての業務の見直しを図るべきである。
そこで、それと同時に
・無駄な工程はないか?
・時間をとっているところ(ボトルネック)はどこかを明らかにする
ことが必要となる。
・設備投資の工夫
設備投資において業務改善助成金は、支給限度額より導入設備の平均単価が 100 万前後と
なり、ものづくり補助金のように基幹設備をこれで調達でという狙い方が出来ない。
そこで、関与した事例ではこの助成金で申請するのはマテハン装置(運搬装置のこと)な
ど、まさに人の動きに即した投資に使い分けていた。
製造業も、そのような発想ができるのだと認識を新たにした。
使い方として、高齢者用の作業誘導装置という方法もある。
業務改善助成金では秋の最低賃金アップに合わせて助成金活用で投資するというのも可能
である。
・労働時間短縮の工夫
労働時間短縮については以下のようなアイデアもあるが、これについては、前述した長時
間労働に対する考え方を根本的に変えないと根付かない。
・終礼1時間前等、予鈴を鳴らす
・付き合い残業をなくす
・会社内での終業後雑談などは控える
・上司も時間短縮、退社時間を守る
などとなる。
続く
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